老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
原著論文
高齢者における日常活動指標と記憶成績および記憶信念との関係
金城 光清水 寛之
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2018 年 40 巻 1 号 p. 9-21

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抄録

 高齢者の日常活動(主に日常的楽しみに関する活動)の程度の指標および活動程度に関連する要因を明らかにするため,若齢群,中年群,および高齢群を対象に記憶成績と記憶信念の観点から調査した.活動状況の指標は,従来の頻度評定のほか,活動の重要度評定と,重要度を加味した重みづけ頻度評定を用いた.記憶信念は日本版成人メタ記憶尺度短縮版で測定した.相関分析の結果,頻度得点と重要度得点の関連は高齢群でもっとも高く,記憶成績と記憶信念の関連は高齢群のみで認められた.階層的重回帰分析の結果,重要度得点と重みづけ頻度得点では,どの年齢群でも記憶信念の下位尺度を加えたモデル3で10%以上の説明率を確認した.一方,頻度得点では,ほかの年齢群とは異なり高齢群でモデル3の説明率は0%だった.以上から,日常活動の程度には記憶信念が関連し,高齢者の活動特性把握には頻度のみならず,活動の重要度も考慮すべきであることが明らかになった.

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© 2018 日本老年社会科学会
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