2019 年 41 巻 3 号 p. 292-305
本研究の目的は,中国都市部に居住する60歳以上の高齢者とその子どものペアを対象に,両者の介護サービスの利用希望の一致の割合と世代間連帯モデルに基づきその関連要因を解明することである.調査対象は,高齢者については山東省済南市Z区に在住し,かつ日常生活に支障がある者とし,子どもについては高齢者を主に援助している者とし,ペア数は97であった.要因分析には,ロジスティック回帰分析を用いた.高齢者とその子どもの間で利用希望が一致した割合は44.3%であった.情緒的連帯・交流的連帯の影響については,高齢者が子どもとコミュニケーションを頻回に取っている,あるいは子どもとの親密度が低い場合,一致する割合が有意に高かった.高齢者との親密度が高いという子どもでは,一致する割合が有意に高かった.合意的連帯の影響については,高齢者が子どもの介護の社会化に対する意識を正確に理解している場合,子どもが高齢者の介護サービスの対人的抵抗感に対する意識を正確に理解している場合,一致する割合が有意に高かった.以上,高齢者とその子どもの間では介護サービスの利用希望が一致する割合が低いこと,一致の関連要因を検討すると,情緒的連帯が有意な関連を示していることが示唆された.