本研究は,高齢者施設の介護職員の,利用者の死に対する悲嘆の程度を検討することと,回顧的にたずねた死に対する準備性と看取りケア効力感,およびその交互作用と悲嘆との関連を検討することを目的とした.オンライン調査で看取り経験のある介護職員399人から有効回答を得た.介護職員は,いちばん最近経験した利用者の死に対して一定の悲嘆を感じていることが示された.また,悲嘆に対する階層的重回帰分析の結果,死に対する準備性の有意な負の効果,看取りケア効力感の有意傾向の正の効果,および,死に対する準備性と看取りケア効力感の有意な交互作用が確認された.単純傾斜の検定の結果,看取りケア効力感の高さは悲嘆の強さと関連するが,死に対する準備性の高さがその関連を緩衝することが示唆された.看取りケア効力感は看取りケアの実施に必要なものであるため,介護職員の悲嘆による問題を予防するうえでは,死に対する準備性を高めることの有用性が示唆された.