2021 年 43 巻 1 号 p. 36-48
高齢者就労の促進に伴い,仕事と地域活動の両立は中高年者自身にとっても活動の担い手が不足する地域にとっても課題となっている.本研究は,東京都内の無作為抽出された55〜84歳対象の郵送調査における就労者(n=399)を分析対象とし,地域活動参加と①仕事特性,および②主観的ウェルビーイング(SWB)との関係,その男女差について検討した.地域貢献型,趣味・学習型の2種類の地域活動への参加についてのロジスティック回帰分析の結果,両活動ともフルタイムより短時間就労者のほうが参加していたが,通勤時間の短い人や仕事の裁量度が高い人ほど参加する傾向は地域貢献型活動のみでみられ,通勤時間との関連は男性より女性で強かった.また,SWBについての重回帰分析では,活動の種類やSWBの指標(人生満足度,幸福感)による違いはあるが,就労者においても地域活動に参加する人ほどSWBが高い傾向が示された.