抄録
本稿は,AI とメタバースの時代における教育の倫理的課題を文明論的観点から再考し,人間の「意思」「所有」「正義」という三原理を基軸に,教育を「意思の再生装置」として再構築する理論的枠組みを提示するものである.現代社会では,技術が人間の判断を代替し,主体的意思の喪失が進行している.特に,本人意思を欠いた取引(不正アクセス事件に典型)や,AI による自動判断の普及は,人間的責任の構造そのものを掘り崩している.この事態は単なる技術的課題ではなく,近代文明の倫理的基盤を揺るがす危機である.したがって本研究は,教育がこの「意思の欠如」という文明的病理にいかに応答すべきかを問う.結論として,メタバース教育は単なる仮想環境ではなく,人間の自由意思を回復するための倫理的・制度的空間として再設計される必要があると主張する.