宗教研究
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グローバル化時代の宗教知識教育 : 誰が、何のために、何を伝えるのか(<特集>宗教の教育と伝承)
藤原 聖子
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2011 年 85 巻 2 号 p. 529-554

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抄録

公教育における宗教の教え方は、グローバル化の進展とともに世界的に大きく変化している。日本でも、そのような国際的状況を参照しながら、従来「宗教知識教育」という呼称で半ば自明視されていた教育を、「誰が、何のために、何を伝えるのか」という基礎的なレベルから、再検討することが必要である。本論文は、主として欧米諸国の学術的論争を取り上げ、「誰が、何のために、何を伝えるのか」に沿って独自の整理を行い、そこから日本の教育・宗教学はどのような示唆を得られるかを論じる。分析の中心となる資料はNumenやBritish Journal of Religious Educationである。今後、日本の宗教知識教育は、旧教養主義から、異文化間教育型に変わっていくべきなのか。それとも、全員が明確な宗教的アイデンティティを持っていることが前提とされるような多文化主義モデルが該当しない日本では、欧米とは違う、独自の教育を開発すべきなのか。そこに日本の宗教学が取り組むべき問題を見出していく。

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© 2011 日本宗教学会
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