安倍晋三元首相銃殺事件後、「カルト問題」が改めて社会的に注目を集めた。メディアラッシュの中で、「宗教2世」「「宗教2世」問題」という用語が一気に人口に膾炙する。これらの用語には、社会に潜在化した問題の再発見に資したバズワードとしての有効性や社会的意義は存在する。他方、学術的概念としてはどうであろうか。
本稿においては、「宗教2世」「「宗教2世」問題」概念の定義・説明を取り上げ、その定義・説明が学術概念として成立し得るかについて検証した。
さらに本稿は、子どもの権利条約について、同条約が教団や親の信教の自由を絶対視するような考えを相対化し、そうした考えに対する異議申し立ての根拠として機能し得る一方、同条約には子どもの信教の自由を相対化する他の規定も同時に存在するため、問題そのものを一気に解決する根拠とは成りえないことを論じた。
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