宗教研究
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福島原発災害後の宗教界の原発批判 : 科学・技術を批判する倫理的根拠(<特集>科学・技術と宗教)
島薗 進
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2013 年 87 巻 2 号 p. 355-376

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抄録

福島第一原子力発電所の事故により「脱原発」の声は諸方面から上げられたが、宗教界からの声もそれに加わった。全日本仏教会の宣言文「原子力発電によらない生き方を求めて」(二〇一一年一二月)はとくに広く関心を集めたものだ。この稿では、そうした宗教界からの脱原発の訴えの内容を検討し、二〇一一年五月にドイツの「安全なエネルギー供給のための倫理委員会」が公表した「ドイツのエネルギー転換-未来のための共同事業」とも照らし合わせ、科学技術の産物である原発に対してどのような倫理的批判がなされているかを検討する。目指すところは、(1)そもそも原発批判の倫理的根拠は何なのかについて考えを深めていくことである。だがそれとあわせて、(2)日本の宗教界からの原発批判はどのような特徴をもっているのかについても考えたい。また、(3)科学技術に対する倫理的批判の根拠は宗教的なものとどう関わるのか、という問いにも迫りたい。

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© 2013 日本宗教学会
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