宗教研究
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アメリカにおける国家と宗教 : リベラル・デモクラシーと政教分離(<特集>国家と宗教)
藤本 龍児
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2015 年 89 巻 2 号 p. 323-350

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抄録

国家と宗教について考える際の基本理念は「政教分離」である、とされる。しかし、日本の「政教分離」は、欧米諸国のそれと比べて特殊な類型に属すと言わねばならない。しかも、欧米ではその理念じたいが見直され始めている。そこで本稿では、とくにアメリカの「政教分離」を中心に論じ、その思想的問題を明らかにすることを試みた。第一章では、まず日本における「政教分離」理解を、判例や学説を通して確認する。また、その特徴を明らかにするために、欧米における国家と宗教の類型を整理する。第二章では、世界で初めて憲法に「政教分離」を謳った、と考えられているアメリカの憲法についてみていく。ここでは、とくに日本の判例や学説に大きな影響を与えた「分離」原則について論じる。第三章では、一九八〇年代以降の変化について論じ、それまでに確認された国家と宗教にまつわる原理や原則、そしてその背後にある思想について整理し、その問題点を明らかにする。

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