二〇二〇年初頭に始まったパンデミックでは、宗教的集会が感染爆発の震源地と見なされた。本稿は多様な事例、統計データ、学術論文をもとに、宗教と感染の関係を明らかにし、その過程で宗教がどのように変容してゆくかを論じる。基本的統計からは、西欧と南北米のキリスト教国での死亡率の高さが明白である。これは、グローバル都市への人の流入、密集して暮らす民族集団などの要因が重なっており、キリスト教そのものが原因ではない。とはいえ、米国ではニューヨーク市周辺の州を除けば、礼拝出席率と死亡率がおおよそ相関することが分かった。次に、宗教がパンデミックを通して「COVID-19の悪魔化」「宗教のスティグマ化」「宗教の再純化」の三段階の通過儀礼的プロセスをたどると論じる。この三段階のプロセスを日本に当てはめると、多くの宗教は科学的感染対策に適応し、悪魔化もスティグマ化も起こらなかった。礼拝のヴァーチュアル化や共同体でのリーダーシップなどの再純化も不十分だった。それは長期的に見た活動の停滞の兆しとも言える。