宗教研究
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論文
蜜月の盲点
伊勢神宮と政教分離
田中 浩喜
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2021 年 95 巻 3 号 p. 1-24

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抄録

本稿では、戦後日本の伊勢神宮を政教関係史の観点から論じる。戦後日本では、政教分離が大きな争点になってきた。特に靖国神社は、政教分離論争の象徴的存在として注目されている。反対に、伊勢神宮が社会の関心を集めることはほとんどなかった。本稿の主張は、伊勢神宮は戦後日本の政教分離の盲点であり続けてきたが、実際には政教分離の観点から議論されうる対象であるうえに、近年では地方レベルでも国政レベルでも政治と一層緊密な関係を結んでいるということである。本稿ではまず、伊勢神宮及び政教分離に関する近年の研究蓄積を紹介し、本研究の研究史上の位置づけを説明する(一章)。そして、政教分離の確立後も伊勢市が伊勢神宮と緊密な関係を維持してきたことを明らかにしたあと(二章)、国政レベルでの伊勢神宮の政治的重要性の高まりを指摘する(三章)。結論部では、近年の伊勢神宮の存在感の相対的向上と、靖国神社の存在感の相対的低下について考察する(四章)。

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