レギュラトリーサイエンス学会誌
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薬学実務実習を終えた薬学部学生への小児用医薬品使用に関するアンケート結果が示す課題
西村 多美子津田 彩子青木 孝文
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2021 年 11 巻 1 号 p. 13-25

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抄録

世界的に小児用薬は必要とされているが, 臨床では十分とはいえない. そこで, 筆者らは, 薬学実務実習を終えた2017-2019年度の就実大学6年生へのアンケート調査から小児用薬のニーズを調査した. 学生が調剤した主な処方薬は, 抗菌薬, 抗アレルギー薬, 中枢神経系薬, 消化器系薬, 心血管系薬であった. 小児用量と小児剤形がある薬剤の調剤は学生にとって難しくはなかった. しかし, 小児用量, 小児剤形をもたない多くの薬物があったため, 学生は成人用薬剤から小児に投与するための薬剤を調剤することがたびたびあったが, この実習は学生にとって難しかった. 小児用量は体重換算, 年齢換算が主に選ばれた. 粉末とするために, 学生はしばしば錠剤の粉砕やカプセル剤の開封を行ったが, これは製剤の安定性や生物学的同等性に懸念がある. アンケートによると学生にとって患児および保護者とのコミュニケーションも難しかった. 学生対象のアンケート結果からではあるが, 調剤時のミス削減や医薬品の品質確保の観点から, 小児用医薬品の開発には, 小児用量の設定や, 小児の服薬に適した剤形が望まれると考える.

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© 2021 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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