2021 年 11 巻 1 号 p. 83-90
近年, 医薬品開発において薬物動態, 薬力学および曝露と反応関係を検討する際に母集団薬物動態/薬力学解析を適用する例が増えており, 患者の薬物動態プロファイルの評価, 民族間比較および適切な用法・用量の設定などを行う上で, 母集団解析は有用性の高い解析手法となっている. しかしながら, わが国においては, 母集団薬物動態/薬力学解析に際しての具体的な留意事項および基本的考え方について示したガイドラインは存在しなかった. このような状況を踏まえ, 集積された最新の科学的知見を考慮した 「母集団解析/薬力学解析ガイドライン」 が作成された. 本稿は, 当該ガイドラインの概要およびその作成経緯について, 産官学のメンバーからなる研究班においてガイドライン作成にかかわった規制当局担当者の立場から記載するものである.