レギュラトリーサイエンス学会誌
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特集(新規in vitroアッセイ系の開発と医薬品評価への応用)
医薬品のヒトQT間隔延長リスクを予測するための新規in vitro試験系への期待
角田 聡
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2021 年 11 巻 1 号 p. 75-81

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抄録

2009年に, 薬物のQT間隔延長のリスクに注目した非臨床安全性評価を目的としたICH-S7Bガイドラインが発効された. その後, 心拍を制御するイオンチャネルを発現し, ヒト心筋組織と同様の収縮などの機能を有するヒトiPS/ES細胞からの均質な心筋細胞 (心筋様細胞) を培養する技術が確立され, 商業ベースで容易に入手可能となっている. 日米の研究機関などは, これらの心筋様細胞を医薬品の心血管リスク評価に適用すること目的として, 心筋の活動電位を制御するイオンチャネルを発現するヒトiPS由来の心筋様細胞 (iPS-CM) を用い, 包括的な不整脈リスク評価の有用性を検討している. さらに, ICH-E14/S7Bの作業部会では, 新薬申請における非臨床安全性試験の一部として, これらの試験を薬事規制試験へ使用するための要件について議論している. 本稿では, ICH-S7Bの発出後に, 新たに開発されたヒト生体内の心筋細胞と類似の機能を有するiPS-CMを用いた心血管安全性評価のヒトのリスク予測に対する有用性を示した上で, 新薬承認に必要な試験として新しいアッセイシステムを導入する際に必要とされる試験要件と結果解釈において考慮すべき事項についても考察する.

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© 2021 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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