レギュラトリーサイエンス学会誌
Online ISSN : 2189-0447
Print ISSN : 2185-7113
ISSN-L : 2185-7113
特集(「医薬品の投与に関連する避妊の必要性等に関するガイダンス」に係る基本的考え方と今後の課題)
非臨床安全性試験から発生毒性および遺伝毒性を有する医薬品の避妊の考え方―サリドマイドからの教訓―
小野寺 博志
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 12 巻 1 号 p. 45-53

詳細
抄録

サリドマイドは大きな薬害をもたらし,この世から回収された.このサリドマイド事件により薬の安全性に対する規制やガイドラインが大きく進んだ.危険な薬は事前に予測できるようになった.しかし,サリドマイドは2008年再び承認された.難治性多発性骨髄腫の適用で適正ガイドラインにより厳しく管理することが条件である.医薬品開発での安全性はICH(医薬品規制調和国際会議)ガイドラインで試験の種類や実施時期が決められている.その非臨床安全性試験の結果にもとづき臨床試験が行われ,適切な用法用量が決められる.特別な場合以外,妊婦や妊娠の可能性のある女性での治験はできない.添付文書での多くは「妊婦,妊娠可能な女性への投与経験はない」という記載である.特に遺伝毒性のある薬は「禁忌」となる.AYA世代にがん治療を受けた女性のリスクについて改訂されたICH S5(R3)から考えてみた.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top