レギュラトリーサイエンス学会誌
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報告
ヒト細胞加工製品の変更管理―Post-Approval Change Management Protocolの活用と今後の検討課題―
花田 直之大橋 健人木下 由紀津組 裕孝山口 頼子金子 真紀齊藤 孝二郎廣瀬 善史寺尾 寧子
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2024 年 14 巻 1 号 p. 53-63

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抄録

わが国では複数の再生医療等製品が承認されているが,承認後のライフサイクルマネジメントを通じて,製造方法,製造所,試験法,規格値,および有効期間など多くの変更が発生しうる.特にChimeric antigen receptor T cellを利用したヒト細胞加工製品は医薬品とは異なる特徴をもち,その特徴ゆえに変更に係る薬事対応を速やかに行うことが求められる.変更に係る薬事対応を行う場合,軽微変更届出または一部変更承認申請を行う必要があるが,わが国の再生医療等製品に係る一部変更承認申請の標準審査期間は12カ月であり,変更に係る薬事対応を速やかに行うことができるとはいい難い.一方,2021年に変更計画の確認および計画に従った変更に係る事前届出制度(Post-Approval Change Management Protocol: PACMP)を適用できることとなった.本制度は,規制当局と合意されたプロトコルにもとづき,予定された結果が得られた場合は届け出により予定していた変更を速やかに行うことができる制度である.本研究では,ヒト細胞加工製品の変更に係る薬事対応を速やかに行うために,PACMPを活用することが可能かどうか検証した.検証の結果,PACMPの活用により,一部変更承認申請と比較して,有効期間延長は10~11カ月程度,製造所追加および製造方法変更は4~5カ月程度速やかな変更を行うことができる可能性があるが,試験法変更や規格値の変更において速やかな変更を行うことは困難であると考えられた.

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© 2024 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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