レギュラトリーサイエンス学会誌
Online ISSN : 2189-0447
Print ISSN : 2185-7113
ISSN-L : 2185-7113
原著
「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」における医療上の必要性基準への該当性評価に関する研究
大村 望実相野 早紀松井 和浩成川 衛
著者情報
ジャーナル 認証あり

2025 年 15 巻 2 号 p. 83-93

詳細
抄録

 厚生労働省では2010年に「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を設置し,国内での未承認薬・適応外薬について開発要望を募集し,製薬企業へ開発を促している.これまでに提出された要望のうち,約1/5の品目が「医療上の必要性が高くない」と評価され,開発要請に至っていない.そこで本研究は,「医療上の必要性が高い」と評価される基準(以下,必要性基準)に該当するために必要な要件を明らかにするとともに,検討会議が果たす役割の重要性について考察することを目的とした.第Ⅳ回要望のうち,2023年8月30日までに検討済みの102品目を研究対象①とした.そのうち,募集区分が未承認薬と適応外薬の91品目を研究対象②とした.要望書の記載事項から説明変数となる情報を抽出し,必要性基準への該当性を目的変数としてロジスティック回帰分析を行った.必要性基準への該当性と有意な関連を示した項目は,研究対象①では,無作為化比較試験の実施有,要望提出者学会,過去の要望提出歴有であり,研究対象②では,海外ガイドラインの投与推奨記載有であった.検討会議に要望を提出する際には,学会と連携するなどの取組みを行い,エビデンスレベルの高い文献が存在することをよく確認することが望まれる.検討会議は,既存の情報を最大限に活用しながら,患者が医療保険のもとで速やかに医薬品にアクセスすることを可能にする制度として,今後も重要な役割を担っていくと考える.

著者関連情報
© 2025 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top