レギュラトリーサイエンス学会誌
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特集(ドラッグ・ロスの解消に向けて―小児用医薬品や希少疾病用医薬品を中心として―)
ドラッグ・ロスのさらなる解消に向けて
―小児用医薬品や希少疾病用医薬品を中心として―
佐藤 潤
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2026 年 16 巻 1 号 p. 59-64

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抄録

 わが国では,米欧と比べた承認の遅れである「ドラッグ・ラグ」は,優先審査制度や審査体制の強化により大きく改善した.一方で,海外で承認されながら国内では開発・承認に至らない「ドラッグ・ロス」が顕在化している.本稿は,とくに希少疾患・小児の観点から,ドラッグ・ロスの現状と背景を整理し,政策的対応を提案する.まず,国内外の承認動向を概観し,バイオマーカー陽性集団を対象とした小規模試験や早期相エビデンスにもとづく承認が増加していることを示す.次に,創薬エコシステムの産業構造上の変化を分析し,スタートアップが創出したシーズが資本制約下で米国などでの開発を優先しやすい状況が,希少・小児の “分母が小さい” 領域に不利に働き,「隠れドラッグ・ロス」を生むことを論じる.さらに,厚労省特別研究班の成果と未承認薬検討会議の対応を概説する.最後に,疫学・価値の見通しの可視化,臨床研究インフラの高度化(レジストリ,EHR標準化,質指標の可視化),的を絞った経済的支援(R & D税控除など)を提案し,低品質試験の誘致を回避する設計の重要性を述べる.真の必要性に基づく選択とエビデンス創出,とくに希少・小児領域への先回り投資が,日本を早期・包括的開発の “選ばれる国” にする鍵である.

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