レギュラトリーサイエンス学会誌
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特集(医療機器の臨床試験から承認審査)
医療機器の開発促進のための開発側・審査側の連携上の課題に関する一考察
佐久間 一郎
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2015 年 5 巻 3 号 p. 195-202

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抄録
医療器機器の開発では,その有効性と安全性が審査過程で評価される.医療機器の動作原理,使用環境,リスクレベルなどの多様性が,医療機器を体系的に評価するうえでのむずかしさとなっている.市場に出てから間もない早期の段階では,当該機器の効果を最大化するための利用技術が未整備である.このため当該機器の有用性を十分に評価できない場合も存在する.この場合,機器の潜在的な価値を適切に判断できないこともある.安全性と有効性に関する知識を臨床応用を通じて継続的に蓄積していかなければならない.これらの開発過程では,大学・学会等の学術活動が知識の獲得に有用である.トレーニングや臨床応用に関するガイドラインの制定は,この観点から重要となる.学術活動は,原理的にこのような医療技術評価に求められる透明性が担保されているという利点が存在する.医療機器に関するイノベーションを推進するには,研究開発側,審査側が協力して思考の枠組みを共有し,開発と審査プロセスの最適化を図ることが重要である.
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© 2015 レギュラトリーサイエンス学会
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