レギュラトリーサイエンス学会誌
Online ISSN : 2189-0447
Print ISSN : 2185-7113
ISSN-L : 2185-7113
原著
The Promotion of In-home Medical Care Services by Community Pharmacists
Kiyomi UENOSatoshi TOYOSHIMA
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 6 巻 1 号 p. 33-45

詳細
抄録
急速に少子・高齢化が進む日本において, 在宅医療・介護の推進は喫緊の課題となっている. 在宅医療の現場では, 薬の服薬や保管に関連する問題が散見されていることから, 薬物治療の専門職である薬剤師の在宅医療への参画が強く求められている. 一方, 薬局薬剤師による訪問薬剤管理指導は全体としては増えてきているものの, まだ, 積極的に取り組んでいる薬局は一部である. 本研究では, 在宅医療・介護の最重点整備地域である大都市部における薬局薬剤師による在宅業務の推進のための課題や対応策について検討を行った. 大都市部の薬局に対するヒアリング調査を行った結果, 在宅業務を推進する際の課題として人員不足, 他職種との連携・理解不足などの状況が明らかとなった. 他職種との連携強化のためには, 在宅医療カンファレンスの実施や薬剤師会を通じた活動が有効であることが示唆された. 全国47都道府県の医療計画の策定状況を分析した結果, PDCAサイクルを効率的に機能させるためには, 実際に在宅業務を実施している薬局数などにより正確に状況を把握できる指標を現状把握および数値目標として設定することが重要であると考えられた. また, 在宅医療・介護の推進において薬剤師と他職種との連携は非常に重要な課題であることから, 連携に関する数値目標の設定について検討する必要があると考えられた.
著者関連情報
© 2016 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top