レギュラトリーサイエンス学会誌
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原著
Evaluation of the Clinical Benefit of a G-CSF Biosimilar
Izumi KAMADAYasumasa SAITOUTadahiro SIMIZUKyouko ASAKAWAKazuhiro MASUOKATetsu KOBAYASHIAkiko ISHII-WATABESatoshi TOYOSHIMA
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2017 年 7 巻 1 号 p. 3-15

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抄録

バイオ医薬品は, 一般的に有用性は高いが, 高薬価のため医療費高額の一因となっている. そのため医療費抑制となるバイオ後続品 (Biosimilar: BS) 使用への期待が高まっているが, 国内でのBS使用は低分子化学医薬品である後発医薬品に比較し進んでいない. その主たる原因は, 医師, 薬剤師のBSと先行バイオ医薬品との同等性に関する認識が必ずしも十分でないためと考えられた. そこで, 本研究では, 国家公務員共済組合連合会三宿病院 (三宿HP) においてBSへの切り替えが完了しているGranulocyte colony-stimulating factor (G-CSF) 製剤の有効性・安全性について, 2012年4月から3年間のデータを用い, フィルグラスチムBS注 「F」 (2013年5月発売 : 富士製薬工業株式会社), および対照薬 (先行品) であるグラン® (協和発酵キリン株式会社) を対象に, レトロスペクティブに調査した. また, BS切り替えによる経済性への影響についても検討した. 有効性・安全性に関しては, 化学療法後の白血球数の推移, 発熱性好中球減少症および臨床検査データの外れ値発現率などを指標に比較した. 投与期間の違いや好中球数データ不足による解析不能などの理由から, 完全な比較は困難であったが, BSの臨床における有効性を示すことができた. また, 安全性に関してもBSは先行品と同等と考えられた. すなわち, BSは先行品と同等の有用性を有すると考えられた. さらに, 後発品およびBSへの切り替えによる購入費用節減率はフィルグラスチムBS銘柄単独で全体の約10%に至った. 以上, 臨床効果, 安全性, 経済性の検討結果より, 三宿HPにおいてG-CSF製剤をフィルグラスチムBSに切り替えたことの有用性が明らかとなった.

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© 2017 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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