2017 年 7 巻 2 号 p. 71-80
近年のゲノムデータの蓄積により, 遺伝情報を利用した個別化医療は現実のものとなりつつある. 特にがん化学療法の分野では, 肺がんにおけるEGFRに代表されるように, 遺伝子変異の有無を判別して治療薬を選択する時代に入っている. 我が国では2013年に, 分子標的治療薬の効果を判定するための体外診断薬 “コンパニオン診断薬” が新たに定義され, すでに複数の品目が承認されている. 本稿では, 主にがん分子標的治療薬との関連からコンパニオン診断薬の現状と課題について概説する.