レギュラトリーサイエンス学会誌
Online ISSN : 2189-0447
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7 巻, 2 号
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総説
  • 築茂 由則, 鈴木 孝昌, 内藤 幹彦
    2017 年7 巻2 号 p. 71-80
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー

    近年のゲノムデータの蓄積により, 遺伝情報を利用した個別化医療は現実のものとなりつつある. 特にがん化学療法の分野では, 肺がんにおけるEGFRに代表されるように, 遺伝子変異の有無を判別して治療薬を選択する時代に入っている. 我が国では2013年に, 分子標的治療薬の効果を判定するための体外診断薬 “コンパニオン診断薬” が新たに定義され, すでに複数の品目が承認されている. 本稿では, 主にがん分子標的治療薬との関連からコンパニオン診断薬の現状と課題について概説する.

報告
  • —日本における医薬品広告モニタリング制度の確立に向けて—
    中島 理恵
    2017 年7 巻2 号 p. 81-89
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー

    製薬企業が行うプロモーションのなかには虚偽や誤解を招く表現を用いているものも存在する. このような状況は最終的には医薬品を使用する患者の不利益につながるため, 第3者による製薬企業の新薬プロモーション活動の監視制度の確立が求められている. 本研究では, 我が国における製薬企業の医薬品プロモーション活動の監視制度の在り方を検討するため, すでに製薬企業の医薬品プロモーションの監視活動を行っている米国FDA (Food and Drug Administration) の取り組みを例示するとともに, 米国における医薬品広告違反の実態をFDAから発行されたwarning letterとuntitled letterを参考にして分析した. FDAでは, 疾病専門領域ごとの担当審査官を設置し, 膨大で専門的なプロモーション資材を効率良くレビューしている. また, 医局や講演会といったFDAの目が届きにくい現場でのプロモーション違反対策として, 現場の医療従事者に向け, 教育と報告窓口の両方の側面をもつBad Ad Programの制度を提供している. 米国においては, 近年電子媒体での違反が増加しており, 今後はFacebookなどのソーシャルメディアからの情報の監視が重要となる.

  • —北海道大学における経験から—
    沢登 健治, 佐久嶋 研, 荒戸 照世, 七戸 秀夫, 佐藤 典宏, 寳金 清博
    2017 年7 巻2 号 p. 91-97
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー

    北海道大学大学院医学研究科は, 厚生労働省のシーズ開発・ガイドライン作成・人材交流を目的とした研究事業に採択され, 事業実施機関のうちのひとつとして脳梗塞の再生医療に関するプロジェクトを行っている. 本プロジェクトによりアカデミアに蓄積される知識や経験を, 個々の人材や組織に蓄積されるに留めてしまうのではなく, 広く多くのアカデミアが入手・活用できる形とすることが重要である. そのため, 規制当局とアカデミアの両方の視点からプロジェクトを振り返り, アカデミアにおける開発の要点をまとめた. 振り返りの方法として, これまでのプロジェクトの進め方および定例会議の内容を整理したうえでグループディスカッションを行った. 抽出された主な要点として, プロジェクトの進行を遅らせた要因では薬事リテラシーの不足と開発チームの役割分担, よかった点ではプログラムオフィサーによるレビューと規制当局との対面助言が挙げられた. 改善策として専門性に基づく役割分担が考えられ, 今後の提言として治験が実施されている医療現場の情報の活用が示された. 今後, アカデミアが適切かつ迅速に開発を進めるために, 今回議論された点を考慮して開発を進めることが重要と考える.

特集(医薬品等に関する先端技術の現状とレギュラトリーサイエンスの課題について)
  • 松田 嘉弘
    2017 年7 巻2 号 p. 99-103
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー

    連続生産とは, 原料または混合物を連続的に製造工程内に供給し, 生産物を継続的に取り出す生産方法である. プロセスを長期間稼働させることで, 望ましい品質を有する生産物を, 必要な量, 必要な時期に製造できる. 連続生産により, 人的エラーの軽減や需要に応じた製造管理の実現など, 多くの利点が期待されているが, 連続生産に関連する規制上の考え方はまだ提示されていない. 連続生産を国内で円滑に導入していくためには, 産官学が一丸となり, 連続生産を導入するうえでの課題に取り組み, 知識を共有していく必要がある.

  • 加藤 くみ子, 奥田 晴宏
    2017 年7 巻2 号 p. 105-111
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー

    ナノテクノロジーは高機能医薬品のための製剤技術として有望である. ナノ製剤化技術には, リポソーム, 高分子ナノ粒子, 鉄ナノ粒子, ナノエマルジョン (リピッドマイクロスフェアを含む), ミセル, ワクチンアジュバント, ナノ結晶製剤などがあり, これらの技術を用いた医薬品が日本で承認されている. 多くは, 低分子化学合成品のための製剤技術として用いられているが, 近年では, 核酸やタンパク質を封入したキャリアの開発も進展している. ナノマテリアルの測定法の開発, 標準品・標準物質や規格文書の作成が国際的に進んでおり, われわれにとっても重要課題である. さらに, われわれはナノ医薬品の製剤特性を反映した品質特性の新たな評価法の構築に努めており, 本稿では原子間力顕微鏡を用いた膜弾性の評価試験法構築について現状と課題を紹介する.

  • 藤坂 朱紀, 伊藤 浩介, 小比賀 聡
    2017 年7 巻2 号 p. 113-120
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー

    核酸医薬品は, 低分子医薬品や抗体医薬に次ぐ新たなカテゴリーの医薬品として, 近年大きな注目を集めている. 実際に承認された核酸医薬品はこれまでのところ世界的にも5品目と少ないものの, 国内外における核酸医薬品の臨床試験は現在百数十件にも達しており, その勢いは今後も衰えることはないであろう. しかし, 現在のところ核酸医薬品を主たる対象としたガイドラインは存在していないため, 核酸医薬品開発に関わる品質, 非臨床安全性, 臨床的特徴を整理し検討しておくことは核酸医薬品の研究開発を進めるうえで重要である. 本稿では, 核酸医薬品の開発の現状を概説するとともに, 核酸医薬品に関わるレギュラトリーサイエンス上の課題点について, 特に品質管理の立場から, 合成・精製, および分析上の課題, 化学修飾に基づく課題, 高次構造の管理などのいくつかのポイントについて議論する.

  • 内田 和久, 松崎 淳一, 兵庫 淳志
    2017 年7 巻2 号 p. 121-129
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー

    バイオ医薬品は, 世界の医薬品市場のなかでもその重要度を増しており, バイオシミラーも含め今後の成長が期待されている. 一方で, バイオ医薬品は, 製剤開発や製造設備などで, 低分子医薬品とは異なる特徴を有しており, バイオロジクス特有の課題も少なくない. また, これら課題のなかには, グローバル医薬品開発のトレンドを反映したものや, 我が国特有のものもある. 本稿では, 我が国におけるバイオ医薬品製造・開発に関わる課題について, バイオ製造基盤整備, 医薬品開発の加速化適応, およびバイオ製造人材育成の3つの観点から, 企業の立場より意見を述べる.

シリーズ(医薬品・医療機器評価をめぐる最近の話題)
  • 横田 昌史, 友竹 絵美, 日吉 裕展, 齋藤 宏暢
    2017 年7 巻2 号 p. 131-141
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/31
    ジャーナル フリー

    1990年に日米EUの産官6団体で発足した日米EU医薬品規制調和国際会議 (現 医薬品規制調和国際会議 : ICH) は, 発足から25年を迎えた2015年10月にICH協会として法人化され, 加盟団体のさらなる拡大・国際化やICHガイドラインの実施基盤の拡充が進められつつある. ICHでは, これまでに80超のさまざまなトピックに関するガイドラインを調和 (合意) してきており, ガイドラインの作成は, 今後もICH活動の中心に位置づけられる. その一方, 主要なトピックはほぼ網羅され, 今後ICH会員構成の多様化が進むなかで, ICHガイドラインの作成難易度はより高くなると見込まれる. 本稿では, ICH協会における新規トピック提案・選定の仕組みやプロセスを概観した後に, 2016年11月に開催された直近のICH大阪会合での動向に触れつつ, 新規トピックにまつわる課題と将来展望について考察した. ICH大阪会合では複数の新規トピックを包括的に取り扱う 「戦略テーマ」 が初めて採択され, 今後は 「戦略テーマ」 に沿った新規トピックの議論も活発化すると予測される. このような状況を機会ととらえ, 世界各地での新薬の患者アクセス向上に資する有益なICHガイドラインを作成・普及させていくには, ①さまざまなステークホルダーとの対話促進, ②高度専門家の計画的な発掘・育成, の2点が重要であると考える. 「国際調和は人から始まる」 という基本概念に立脚し, 日本発のICHガイドラインが一つでも多く作成されるような環境整備を進めていきたい.

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