レギュラトリーサイエンス学会誌
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原著
日本におけるロングセラー医薬品の特性に係る研究
盛岡 一輝髙山 茜成川 衛
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2017 年 7 巻 3 号 p. 151-162

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抄録

本研究では, 我が国で現在もなお臨床現場で活用されている古くからある医薬品に着目し, 臨床上の有用性および利便性の観点からその特性を分析した. 1999年以前に我が国で承認され, 2013年国内売上高100億円以上の医療用医薬品を 「ロングセラー医薬品」 と定義し, 併せて, 各ロングセラー医薬品の競合品を2013年時点で製造販売されていた医薬品から選出した. 2013年国内売上高100億円以上であった154医薬品のうち, 58医薬品 (38%) がロングセラー医薬品であった. ロングセラー医薬品では, その競合品に比べて, 適応症に係る治療ガイドラインで第一選択として推奨される作用機序をもつ医薬品の占める割合が大きかった. また, 作用機序が同一の医薬品群における検討では, ロングセラー医薬品の添付文書には, その競合品の添付文書に比べて豊富な臨床成績が記載されており, さらに, 競合品に比べて適応症に係る治療ガイドラインで引用された市販後臨床成績をもつ医薬品の占める割合が大きかった. また, ロングセラー医薬品の1日投与回数は, その競合品の1日投与回数に比べて少なかった. 豊富な臨床上の有用性に係るエビデンスを有し, 新薬に比べて相対的に安価なロングセラー医薬品の活用は, 質の高い効率的な医療の提供および医療費の適正化の面から重要と考える.

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© 2017 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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