レギュラトリーサイエンス学会誌
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特集(ICH(E18)ゲノム試料の収集およびゲノムデータの取扱いに関するガイドライン)
医薬品開発においてゲノム試料を採取する臨床試験実施に際し考慮すべき事項
市原 伴子犬飼 ゆみ島辺 宗健田中 顕安田 早苗山崎 高生宮田 雅代近藤 充弘
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2019 年 9 巻 2 号 p. 103-109

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抄録

ゲノム試料の収集及びゲノムデータの取扱いに関する調和された原則を示し, 臨床試験におけるゲノム研究を奨励することを意図してICH E18が制定され, わが国では2018年1月に通知された. ICH E18ガイドラインでは, 臨床開発のすべての段階で包括的にゲノム試料を取得することを強く推奨しており, インフォームド・コンセントは, バイオマーカー測定法の研究, 疾患との因果関係, 薬物感受性, および/または安全性評価など, 試料の広範な使用を許容すべきであるとしている. さらに, このガイドラインは, 世界的にゲノムデータの統合を促進することを期待して作成されている. しかしながら, わが国においては, 個人情報保護法の改正により, 一部のゲノムデータが個人情報として定義され, 臨床試験のスポンサーは, 日本の臨床試験の臨床試験参加者に対して, ゲノム試料の収集や分析方法のさらなる詳細な情報を提供する必要が生じた. これらの課題を解決するため, 日本製薬工業協会では, 2008年に公開した “医薬品の臨床試験におけるファーマコゲノミクス実施に際し考慮すべき事項 (暫定版)” を全面的に改訂し, “医薬品開発においてゲノム試料を採取する臨床試験実施に際し考慮すべき事項” として2018年に公表した.

本稿では, ゲノム解析の分類の廃止, 匿名化方法の更新, 同意・説明文書の記載内容など, 主な改訂について概説する.

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© 2019 一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会
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