1975 年 14 巻 6 号 p. 398-402
有機過酸化物は加熱により容易に分解,燃焼,爆発を起こす危険な物質であることが知られている.しがし,これらの急激熱分解に関しての研究はあまりなされていない.そこで熱分解ガスクロマトグラフィ一を用いて,有機過酸化物の急激熱分解および分解生成物の定性,定量を行い,あわせて,その反応経路の推定を行った.その結果,従来知られている溶媒中の緩慢分解とは分解状態を異にすることが明らかとなった.一方,有機過酸化物の一般的定量法であるヨウ素滴定法は分析上の誤差を多く含むため,簡便,迅速かつ精度の高い新たな方法として,ガスクロマトグラフィーによる分析法を検討したところ,良好な結果が得られた.