1981 年 20 巻 4 号 p. 181-189
化学的廃棄物質による公害病の原因調査においては,安全工学の立場から病因物質の生成,排出及び拡散に関する汚染経過の調査を行ない,別に疫学の立場から病因物質の摂取(またはそれに対する暴露)とその影響についての発症原因の調査を行ない,両者の調査結果を総合的に判断して,初めて正しい公害原 因を解明得るものであるが,従来のNOx,SOxまたはメチル水銀問題における疫学調査においては,重 要な前者の汚染経過についての安全工学的調査を省略したために,その原因に対する結論に誤りを生じる 恐れがあった.