安全工学
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創立30周年 特集
「つま恋」のLIPガス爆発
福地 知行
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1987 年 26 巻 6 号 p. 403-408

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抄録

現代のエネルギー源としては,すでに欠くべからざるものとして,LPガスは都市ガスとともに不動の地位を築いたといってもよい. しかし,その両者ともに現在のその地位を確保するに至った経過において,必ずしも平坦なものばかりではなかった。数々の事故を引き起こし,尊い人命を奪い,さらに高価な物的代償を払わされ,それゆえにこそ,安全に使用できるための種々の方法,システム等が開発されて,今日に至ったのである。 過去に起こった事故は数々あるが,ここで述べる「つま恋」事故以前は,昭和37年9月13日に山中湖畔の山荘で起こったガス風呂の燃料としてのLPガスの不完全燃焼に起因する一酸化炭素の発生によ って1!人の生命を奪った事件が思い出される・ LPガスは安全でかつ安価であるといわれて多量に使われようとした矢先の話であり,その後LPガス使用の家庭に起こった数多くの爆発事故は,使い方によっては都市ガスと同じように安全と危険とが背中合せであるという教訓を残している. このようななかで「つま恋」の事故が起こったのである.もういまでは思い出のなかの事故のようになって終わったが,LPガスの事故としては最大の犠牲者を生じた事故となった.すなわち,静岡県掛川市満水2000番地のヤマハレクリェーション施設「っま恋」において,昭和58年11月22日午後0時48 分,爆発事故が発生し,人的には死者14名,負傷者27名,物的な被害としては鉄骨平屋建(993.7m2)が全焼,スポーツマンズクラブ室内プールガラス窓全損等となった、 この満水亭の概要について述べ,つぎに事故について日時を追って,その経過の詳細をたどってみる こととする.

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© 1987 特定非営利活動法人 安全工学会
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