安全工学
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環境問題特集
日本における酸性雨の一考察-西千葉の雨水中化学成分-
中川 良三
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1988 年 27 巻 6 号 p. 394-400

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抄録

 1979年9月から1988年7月の9年間にわたり,千葉市において雨水を採取した.降雨回数352回で総降水量8562mm であった.雨水のpH は3.5~7.5(全平均値5.1) であった. pH 5.6以下の雨水を酸性雨と規定するならば.352試料のうち260試料,総降水量の83%が酸性雨であった.酸性雨は春季降雨回数の69%,降水量の76%,夏季降雨回数の76%,降水量の81%.秋季降雨回数の82%,降水量の93 %.冬季降雨回数の65%,降水量の76%であった.酸性雨のうち90試料,総降水量の22%が魚の生殖を停止するといわれている限界pH値4.6以下であった.特に,低pH雨水は,夏季に集中しており, 夏季降雨回数の41%.夏季降水量の29%がpH4.6以下であった.酸性雨の成因といわれる雨水中の硫黄と窒素酸化物の当量組成比は99%以上がSO42->NO3-であったが,比較的低pHの雨水の酸性化はNO3- に依存すると推定された.

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© 1988 特定非営利活動法人 安全工学会
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