1991 年 30 巻 3 号 p. 162-168
炭鉱における坑内火災や炭じん爆発などの跡ガスから逃れるために坑内退避所が設置されている.しかし多くの退避所の構造や設備は,従来の経験などに基づいており,その設置基準の基礎資料を得るため呼吸環境に関する実験を行った.人の呼吸状況の測定,小型試験槽や実規模退避所模型を使用したO2やCO2濃度などの呼吸環境について評価実験と検討を行った. 実験の結果,10m3の退避室内に10人の被験者がろう居して,何も補給しない場合は時問とともにO2濃度が減少し,CO2濃度が増加する.酸素3l/minの補給では02濃度だけは石炭鉱山保安規則の範囲内に保持できる.しかし300lmin以上の空気を補給することにより,規則の範囲(0219%以上・CO2 1%以下)内に保持することが可能であり,また内圧がやや高くなるため煙の侵入防止を期待すること ができる.