1994 年 33 巻 1 号 p. 13-18
前報で展開した化学反応系の熱的な安定性に関する議論に,具体的にアレニウス型の反応速度式を適用し,安定度指数を求めた.測定により得られる安定度指数μと温度丁の関係(T,μ)は,x=1/T, y=log{(1一μ)T2}の変換により直線化されることを示した.この変換を行った(灘,む)平面上で,系の 安定性を領域分類し,系が安定状態を脱する臨界温度媒を予測する方法を述べた.また(T,μ)の関係を,直接(x,y)平面上にプロットするチャートを作成した。 さらに,環境温度揺動法によって求めた安定度指数に含まれる誤差について議論した.この議論から,系の温度変動をどの程度の微小量にとどめるべきかについての知見が得られた.この知見は実際の測定条件を定めたり,測定装置の設計を行う場合に重要な目安となることを示した. 最後に,同一モデルから出発しているSemenovの理論との差異と整合性について論じた.