企業における安全・環境対策を事業遂行上,および公共社会への損害防止の一環として捉え,損害とその防止のための規制,およびその責任にっいて概説した後,損害防止活動の視点として事例に学ぶ活動,セーフティ・アセスメン㌧対策の変化対応と伝承,安全活動評価にっいて述べ,さらに直接リスクの総合的把握と対応,および5Mべ一スの総合的活動の考え方とモデルを提案した後,より充実した損害防止のため直接リスクの種類と安全環境対策活動の幅とのマトリックスからなる「面」としての総合的活動の必要性と「評価」の重要性について述べた.
前報で展開した化学反応系の熱的な安定性に関する議論に,具体的にアレニウス型の反応速度式を適用し,安定度指数を求めた.測定により得られる安定度指数μと温度丁の関係(T,μ)は,x=1/T, y=log{(1一μ)T2}の変換により直線化されることを示した.この変換を行った(灘,む)平面上で,系の 安定性を領域分類し,系が安定状態を脱する臨界温度媒を予測する方法を述べた.また(T,μ)の関係を,直接(x,y)平面上にプロットするチャートを作成した。 さらに,環境温度揺動法によって求めた安定度指数に含まれる誤差について議論した.この議論から,系の温度変動をどの程度の微小量にとどめるべきかについての知見が得られた.この知見は実際の測定条件を定めたり,測定装置の設計を行う場合に重要な目安となることを示した. 最後に,同一モデルから出発しているSemenovの理論との差異と整合性について論じた.
設置後約22年を経過した2基の砂詰め地下埋設式LPGタンク外面の腐食状況を実地調査するとと もに,得られた孔食深さデータを極値統計手法を用いて解析し,最大孔食深さの推定および孔食貫通までの寿命予測を行った.実測された最大孔食深さはそれぞれのタンクについて鏡板0、8mmおよび胴板 Lg mm,ならびに鏡板0.8mmおよび胴板0.6mmであった.鏡板の孔食深さデータはGumbel統計に従い,鏡板全体の最大孔食深さはそれぞれ約1。2~L3mmおよび約1.5mmと推定された.
災害時における飲料水確保は重要な課題である. 逆浸透膜は水分子を透過させるが,これ以外の濁質,細菌,有機・無機塩類,化学物質などの大半は.透過を阻止できるので,海水から飲料水が分離できる. 膜の特性を引き出すには,前処理でいかに効率よく濁質を除去するかが決め手となる.本稿では,前処理にカートリッジ式メンブレン炉過法と,直接凝集炉過法を用いた小型逆浸透膜装置について検討した.その結果,汚濁海水からでも飲料水が採れ,災害時に即応できる車載型海水淡水化装置の開発ができた.
モノシランガスの漏洩を確実に検知するために,前回の実験に引き続きモノシランガスの空気中での反応について確かめる実験を行った.モノシラン分子の空気中の酸素との反応が大きな温度依存性を示すことを確認した。また,モノシラン分子が空気中に長く存在する場合,反応して酸化珪素粉末を生じる場合の両方に対して検知可能な方法として電気化学式ガスセンサ・煙センサ複合型モノシラン警報器 を提案した.
米国損保業界とかかわりの深い諸研究機関を訪問し,火災防御技術を中心としたエンジニアリング活動の実態にっいて調査した.従来より調査の対象となってきたこれらの諸機関は,おのおの専門特化した領域を有する反面,重複する活動領域をも有しているが,米国特有のNiche指向により大胆かつ巧妙に棲分けされている実態が明らかになった.また,連邦規制官庁や国立研究所を中心として相互に密接 な交渉をもっている. 20世紀の二つの大戦を経て肥大化した軍事部門との共同事業を収益基盤にもつ機関もあるが,総じてこれらの機関の活動の原動力は,資本主義メカニズムに裏打ちされた純然たる「民問主導」の体質に根 差すものといえよう.
自動車の安全性の一つの大きな柱である衝突安全の分野にっいて,自動車の安全性と法規制の流れを紹介し,衝突安全としての車体構造,車体構造設計のための衝突シミュレーションならびにおもな乗員保護装置,衝突安全性評価のためのダミー,自動車安全設計のための人体傷害基準などについて概説する.