米国損保業界とかかわりの深い諸研究機関を訪問し,火災防御技術を中心としたエンジニアリング活動の実態にっいて調査した.従来より調査の対象となってきたこれらの諸機関は,おのおの専門特化した領域を有する反面,重複する活動領域をも有しているが,米国特有のNiche指向により大胆かつ巧妙に棲分けされている実態が明らかになった.また,連邦規制官庁や国立研究所を中心として相互に密接 な交渉をもっている. 20世紀の二つの大戦を経て肥大化した軍事部門との共同事業を収益基盤にもつ機関もあるが,総じてこれらの機関の活動の原動力は,資本主義メカニズムに裏打ちされた純然たる「民問主導」の体質に根 差すものといえよう.