2001 年 40 巻 3 号 p. 178-186
移動式クレーンの転倒災害に占める支持地盤の不安定要因を調査すると,機体を支えるアウトリガー(基礎)のめり込み破壊に起因した事例が多く見られる.本研究ではアウトリガーの沈下挙動の違いがクレーンの安定性に与える影響を実験的に検証することを目的に,関東ロームによる一様地盤と表層固結した2層地盤において,模型クレーンによる転倒シミュレーションを遠心模型実験装置を使用して行った.その結果,表層固結した2層地盤では,一様地盤に比べてアウトリガーの沈下が急激に発生するためにクレーンは著しく不安定化し,静的な釣合いによる安定限界に比べて少ない沈下量でも転倒状態に至ることが実験的に確かめられた.また,転倒挙動を逆解析して運動学的な安定限界を調査した結果,ジブ長やジブ起伏角が異なることによって安定限界は異なるが,静的安定限界に対する相対的な不安定性は同一地盤条件においてほぼ等値となり,アウトリガーの沈下挙動はクレーンの不安定性の重要 な要因となることカ§明ら力輔こなった.