原子力発電施設の点検・維持管理のトラブルや安全対策にかかわる意思決定の不透明さに関する問題などを契機として,設備産業における保安投資におけるリスク評価に基づく合理的な意思決定とアカウンタビリティーの必要性が再認識されている. 本稿ではライフライン設備/公益事業について,従来の設備リスク評価と損害算定のフレームを経営レベルの意思決定に適用した場合の問題点を論じ,拡張した損害算定のフレームを提案した.また,DCFによる中長期の企業価値評価の手法を紹介し,これに基づく設備維持管理,保安投資にかかわる 意思決定の手続きを述べた.