現在,日本ではISO 12100 を始めとする機械安全規格にしたがって,産業機械の設計・製造を行うのが常識となりつつある.この具体例に,本質的安全設計方策や安全防護物(ガード,保護装置)の適用がある.しかし,現実には,機械停止が困難な危険点近接作業や複数作業者が広大領域内で行う作業のように,これらの方策だけでは適切なリスク低減が期待できないものもある.実際,著者が日本で発生した産業機械による死亡労働災害(挟まれ・巻き込まれ災害と激突され災害に限る)を分析したところ,危険点近接作業に関連した災害が44.2 %,生産ラインなどの広大領域内で発生した災害が35.7 %,他の作業者が誤って機械を起動したために発生した災害が12.4 %であり,これらのいずれかに関連した災害が 65.1 %を占めていた.このため,本報では,機械停止の困難な危険点近接作業と複数作業者が広大領域内で行う作業を対象に,災害防止手法の明確化を試みた.以上の結果は,ISO 12100 やISO 11161 を補完する戦略としても活用できると考える.