安全工学
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海の環境と安全特集
船底防汚剤による海洋汚染と生態系への影響
岡村 秀雄
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2006 年 45 巻 6 号 p. 399-407

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抄録

船底防汚剤は海で意図的に使用される化学物質の代表格である.長い間,防汚剤の主役であった有機スズ化合物は水環境に対する悪影響が顕在化したため,先進諸国では1980 年代の終わりから防汚剤としての使用を厳しく規制してきた.しかし規制から15 年以上経過した現在でも,多くの港湾域に有機スズ化合物が残留している.この有機スズ化合物の規制と同時に,代替品の開発が行われてきたが,わが国では 2004 年になってはじめて代替防汚剤の情報が公開された.はたして,これらの代替防汚剤は環境に対して安全で,われわれの生活にとって安心な化学物質なのだろうか? 化学物質による環境問題の歴史は代替物質の歴史でもあり,防汚剤の過去,現在,そして未来を見渡してみたい.

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© 2006 特定非営利活動法人 安全工学会
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