電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全に関する国際規格IEC 61508/61511 が発行され,種々の方面に適用されつつある.プログラマブル電子系は高度な安全機能を実現するが,現況のIEC 61508/61511 では,さまざまな条件をもつ安全関連系ないし安全計装システム(以下,SIS)に係る危険事象率の推定に対応できない.本論文では化学または原子力プラント等を想定し,パラメータ制御安全機能と安全トリップ機能との複数の下位安全機能を有するSIS の危険側故障,作動要求及び危険事象の関係を明らかにするために,状態遷移図を用いて危険事象をモデル化し,危険事象率の推定式を導出している.これに基づき,規格が定める危険事象率推定方法の問題点と解決方法とを論じている.