2013 年 52 巻 2 号 p. 91-98
地球環境保護の観点から,オゾン層破壊係数がゼロでかつ地球温暖化係数の小さな新規冷媒の開発と実用化が求められている.このような要求を満たす冷媒は微燃性を有するため,本研究では,A2L(微燃性)冷媒が滞留した空間内で市販電子ライターを使用した場合の火災危険性を実験的に評価した.n- ブタン(ライターガス)/A2L 冷媒/空気の混合気の燃焼範囲を簡易的に予測し,当量比と着火エネルギーの関係を考慮して,実験組成を決定した.検証実験の結果,ライター着火口極近傍で一瞬着火が認められるもののすぐに消炎し,周囲の冷媒への火炎伝播は認められなかった.n- ブタン/A2L 冷媒混合気の着火エネルギーがn- ブタンよりも十分大きいと推測されること,ライターガスの流速とA2L 冷媒の燃焼速度の差が大きいことが主な原因として考えられる.