2014 年 53 巻 3 号 p. 160-166
最近数年以内に公表された学術論文を対象として労働災害および産業事故防止のための安全対策に関する費用便益分析を扱った文献をレビューし,研究の現状と今後の課題を抽出した.安全対策にかかる費用の計測はそれほど困難ではなくほとんど問題になっていない.安全対策の便益は「回避された事故費用」により評価されるのが一般的である.物損などの直接損害よりも,事故による生産ロスなどの間接損害の評価方法について研究が進行中であるというのが現状である.残されている問題点としては(1 )事故発生確率の扱い,(2 )費用/ 便益の比がどの程度大きければ費用が大きすぎると見なすべきか,(3 )費用便益分析を実施するツールの作成があげられる.