抄録
化学安全に関する知識を伝える学習ツールとして試作した漫画の効果の有無等について,検証を行った.理解度調査は,漫画による教育の前後に写真による危険予知を行い,その結果を比較することにより行った.漫画による教育前の危険予知では,有害物質の被液・暴露に関する危険性に関する指摘が殆どであり,爆発火災の危険性については指摘がなかった.一方,漫画読後の危険予知では,爆発火災の危険性について70.8 %の被験者が指摘したことから,漫画によって教育しようとしている知識については理解したものと考えられる.しかし,それは本漫画で初めて知識を得て応用できたのか,あるいはもともと知識としては知っていたが,漫画によってその記憶が喚起されたのか,の差異は分からず,今後の検討が必要である.漫画全般に関するアンケートでは,分かり易さ,利用可能性,次回作についての期待はおおむね高く,漫画は他のツールと同様に化学プロセス安全の学習ツールとして受け入れられたといえる.