安全工学
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53 巻, 5 号
安全工学_2014_5
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 村田 貴司
    2014 年53 巻5 号 p. 287-294
    発行日: 2014/10/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    3・11 は,好むと好まざるとにかかわらず,放射線がさまざまな場面で常に存在している社会(放射線常在社会)であることを認識する契機となった.他方,高度なICT 機器の普及により,個人がその意志さえあれば必要な情報を獲得し,主体的に判断し行動するという「個人による編集権の獲得」が可能となった.放射線の安全を確保し,また不安を払しょくするためには,ICT の成果を活用し,さまざまな場面における個人の被ばく情報を適切に記録,分析評価し,その結果を当該個人にタイムリーに還元するとともに,データをビックデータとして集約し社会的に利活用できるシステムを構築する必要がある.このシステム構築には,さまざまな学問領域の協働が必要であり,「放射線常在社会」の放射線にかかる安全と安心に関する議論が学際的に深まることを望む.
論文
  • 箕輪 弘嗣, 宗澤 良臣, 橋本 康平
    2014 年53 巻5 号 p. 295-302
    発行日: 2014/10/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    人的要因の事故を防止する為,仮想現実感を利用した訓練の実現が期待されている.仮想環境での訓練の利点は実環境に近い環境で訓練できる点にある.しかし,プラント内で基本操作であるバルブの操作をシステムへ伝えるユーザ・インタフェース(UI と省略)は現在なく,実環境に即した訓練ができない問題がある. そこで本研究では,仮想環境におけるバルブ開操作訓練を実現するバルブ操作UI 開発のため,バルブの丸ハンドルの回転速度を測定する画像認識手法を提案する.本手法はバルブの丸ハンドルを回す手から取得した光学的自然特徴点を利用する.本バルブ開操作UI はPC,Web カメラといった一般的な製品を用い平易に実現できる利点がある. 本手法は,評価実験で22.5-90deg/s を測定できる事を確認できたため,発火危険を想定したバルブ操作訓練のためのUI に適用できる事が明らかとなった.
  • 熊崎 美枝子, 庄司 卓郎, 水谷 高彰, 清水 芳忠, 菅野 康弘, 丸野 忍
    2014 年53 巻5 号 p. 303-309
    発行日: 2014/10/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    化学安全に関する知識を伝える学習ツールとして試作した漫画の効果の有無等について,検証を行った.理解度調査は,漫画による教育の前後に写真による危険予知を行い,その結果を比較することにより行った.漫画による教育前の危険予知では,有害物質の被液・暴露に関する危険性に関する指摘が殆どであり,爆発火災の危険性については指摘がなかった.一方,漫画読後の危険予知では,爆発火災の危険性について70.8 %の被験者が指摘したことから,漫画によって教育しようとしている知識については理解したものと考えられる.しかし,それは本漫画で初めて知識を得て応用できたのか,あるいはもともと知識としては知っていたが,漫画によってその記憶が喚起されたのか,の差異は分からず,今後の検討が必要である.漫画全般に関するアンケートでは,分かり易さ,利用可能性,次回作についての期待はおおむね高く,漫画は他のツールと同様に化学プロセス安全の学習ツールとして受け入れられたといえる.
  • 大塚 輝人, 齋藤 務, 吉川 典彦
    2014 年53 巻5 号 p. 310-316
    発行日: 2014/10/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    衝撃波の伝播を精度よく計算できるRandom-Choice 法を用い,高圧球状容器の破裂によって形成される爆風の大気圧中での減衰過程を解析した.高圧ガスの内部エネルギを基準にした爆発特性長を用い, Sachs のスケールによって,(爆風過圧力/大気圧)と無次元距離の関係を表す減衰曲線を得た.しかし,産業災害としての爆発の多くは,爆燃によって引き起こされる低い爆発過圧での容器の破裂に対応しており,Sachs のスケールに基づく事故評価は誤差が大きくなる.(初期衝撃波圧力/大気圧-1)・(容器体積)1/3 を特性長としたRankine-Hugoniot スケールを提案し減衰曲線を新たに得た.この減衰曲線は収斂し,実際の爆発災害の多くに定量評価が可能となる.2 つのスケール則の適用範囲について検討した.
  • 箕輪 弘嗣, 宗澤 良臣
    2014 年53 巻5 号 p. 317-324
    発行日: 2014/10/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    事故の再発防止には,過失を解析し将来に活かす事が求められている.ただ,現在の解析は,専門家が事例を深く読み解く解析が主であり,複数の事例を横断した解析は共通要因の抽出迄に留まっている. そこで,本研究では従来の横断解析法を高度化した進展事象の統合解析法を提案する.本手法は,事故やヒヤリハット等事例の進展事象を主体と振舞という単位のキーワードに分離し,同一の主体と振舞に該当するキーワードを連結する統合化により,事例の横断解析を可能にした.そして,事象の進展経路とその経路を辿る頻度を基に,危険同定,頻度解析,部分的なリスク解析と,その可視化を実現した. 本統合解析法をPEC 事故事例423 件へ適用した結果,タンクから再発しうる危険事象を8 種類と同定し,頻度が高い要因は破損26 %,腐食21 %,高いリスクは破損3.3 × 10-2[リスクランク/年],破壊 2.5 × 10-2[リスクランク/年]である事を可視化できた.
技術ノート
資料
  • 牧野 良次, 松倉 邦夫, 和田 有司
    2014 年53 巻5 号 p. 332-339
    発行日: 2014/10/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    中小規模事業場においてリスクアセスメントの普及を阻害している要因を分析すること,および同調査のためのよりよい調査票作成のための情報収集を目的として,茨城県内の中小規模事業場を対象としたリスクアセスメント普及に関するアンケート調査を実施した.1 418 社に調査票を発送し,回収数は319 (22.9%)であった.そのうちリスクアセスメントを実施しているのは32 社であった.データからは,リスクアセスメントを実施していない企業は,実施している企業(のリスクアセスメント実施前)と比較して,労働災害発生件数が少ないことが見てとれる.このことから,自社で労働災害がそれほど発生していないことがリスクアセスメントを実施しないひとつの理由であると推察される.一方で中小規模事業場での労働災害発生率は一般的に高い.このように「発生件数」と「発生率」の間にギャップがあるように見える理由は,中小規模事業場では事業場単位あたりの従業員数が少ないために,事業場あたりの労働災害発生「件数」としては低くなるからであると思われる.日本全国レベルで中小規模事業場全体の労働災害数を減少させるには,「自分の事業場は安全である」と(場合によっては間違って)認識している事業場においてリスクアセスメントを含む労働安全衛生対策の実施を促進する必要があると考えられる.
  • 消防庁危険物保安室
    2014 年53 巻5 号 p. 340-342
    発行日: 2014/10/15
    公開日: 2016/07/30
    ジャーナル フリー
    消防庁は,平成25 年度に「危険物施設に設置する高発泡泡消火設備の技術基準のあり方に関する検討会」を開催して,危険物施設に設置する高発泡泡消火設備の設置のあり方について検討を行い,その検討報告書を公表した.
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