安全工学
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北米内陸部で頻発する非在来型原油漏出事故
佐々木 邦昭
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2015 年 54 巻 5 号 p. 374-377

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抄録

2013 年から北米内陸部で新たな油濁事故が頻発している.原油輸送パイプラインの破裂,原油輸送貨車の脱線,爆発である. これらの事故は近年,海岸近くで生産される在来型原油の枯渇,世界的な原油需要の増加,そして掘削技術の進歩により,従来軽視されていた内陸部に埋蔵される非在来型原油の生産が急増した反面,海岸部まで長距離を送油するパイプラインが飽和状態になり,鉄道輸送の安全確立が未整備の中で起きている現象でもある. これら原油の鉄道輸送は2008 年(9 500 輌)から急激に増加し,2014 年は50 万輌で850 万バレル/日が輸送されている. このため,北米では2014 年から,急遽安全な陸上輸送の基準見直しを始めていたが,事故が続き,抜本的な安全基準への模索は当分続きそうである.

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© 2015 特定非営利活動法人 安全工学会
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