安全工学
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総説
化学プラント等のリスクマネジメントでの濃度予測モデル METI-LIS 利用上の課題
嶋村 幸仁岡本 眞一
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2017 年 56 巻 5 号 p. 349-355

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抄録

最近の環境マネジメントでは従来からの環境汚染防止のみならず,リスクアセスメント概念に基づく取り組みが重要なテーマとなっている.このリスクの管理では,そのリスクの大きさ,すなわち発生確率とその結果の重大さについて正しく認識することが大切である.1970 年以降,液化ガス燃料や有害化学物質が大量に使用されるようになり,必然的にそれらの漏出事故の発生も増加している.こうした事態に対処するため,液化ガス燃料や有害化学物質等の輸送,貯蔵,取り扱い時の安全性を評価することの重要性が認識されるようになった.さらに,このような化学物質の放出時には特異な拡散性状を示すことが理解されるようになり,アメリカ及びヨーロッパ諸国においては,従来の大気汚染物質とは異なる性状のガスに対する拡散予測モデルが開発され,多くの化学プラント等のリスク管理計画(Risk Management Plan )に利用されていることから,その利用上の課題について検討する.そして,わが国で化学物質を扱う施設のリスクアセスメントに広く利用されているMETI-LIS プログラムについて解説する.

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© 2017 特定非営利活動法人 安全工学会
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