安全工学
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論文
医療安全文化醸成のための要因分析
量的調査と質的調査による比較調査
藤原 茂樹高野 研一
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2018 年 57 巻 2 号 p. 155-166

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抄録

病院などの医療機関では,事故の未然防止のために様々な医療安全の取り組みを行っている.その中でも安全文化の醸成に力を入れているがその効果については検討されていない. 本研究は4 年間隔で実施したアンケート調査から病院職員の安全意識の変化を調査した.その結果を因子分析及び共分散構造分析を行い,医療安全文化の醸成に必要な要因を抽出した.さらにインタビュー調査により,病院職員がアンケート回答の背景となった安全意識を調査した. この結果,医療安全文化を醸成するために必要な要因は,「経営者の安全関与」「安全教育」「職場の雰囲気」であることが示唆された.特に「経営者の安全関与」が重要であることが,量的調査,質的調査の両面から示唆された.このことからトップの強いリーダーシップが,医療安全文化の醸成に必要不可欠であると考えられる.

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© 2018 特定非営利活動法人 安全工学会
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