2018 年 57 巻 5 号 p. 362-369
計算機技術の飛躍的な進歩によって,複雑でソフトウェア集約的な工学システムが日常化している.そこでは,より便利な機能を提供するために,人・環境・インターネットと工学システムの間の複雑な相互作用が必然的に増えてくる.同時に,この複雑な相互作用の欠陥による事故も増えているが,このような事故を事前に予測し安全設計に組み込むには,従来の安全分析法だけでは不十分で,システム全体をみたシステム思考(システミック)アプローチが必要になる.この一つとして,N.G.Leveson はシステム理論に基づく安全分析法(STAMP/STPA)を提唱しているが,これを使いこなすには,この方法論の背景にあるシステム思考の考え方を十分に理解しておくことが大事になる.本論文では,この分析手順をいくつかの具体例を通して解説してゆく.