国際原子力機関(IAEA)は,「安全文化」の概念を提唱して以降,国際的に安全文化への取り組みをリードしてきており,近年では安全のためのリーダーシップとマネジメント,統合されたマネジメントシステム,およびシステミックアプローチが安全文化醸成に不可欠であるとした.これらは日本の規制制度や民間規格および事業者の活動に取り込まれている.また,米国や日本における事故を契機としたこれら見直しも行われている.現在では,組織の経営管理や業務活動のすべてが安全文化醸成に影響を与えると理解し,組織の安全文化醸成の取り組みが行われている.本稿では,国内外の取り組みの経緯と現状を確認するとともに,改めて安全文化の意味内容を確認し,次いで,安全文化醸成とマネジメント,更に安全文化評価についても整理した.