2021 年 60 巻 6 号 p. 440-446
1987 年4 月,日本国有鉄道(以下,国鉄)が分割民営化して発足したJR 東日本は,安全を経営の最重要課題と改めて位置づけ,事故の後追いではなく,安全を先取りする,“守る安全”から“チャレンジする安全”へ,を安全推進の基本的な考え方に据え取り組んでいる. 現在,その基本的な考え方を具体的に整理した,第七次の安全計画である「グループ安全計画2023」を策定・実践している. 「安全文化」という概念は,1986 年に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故を契機に,国際原子力機関が提唱したとされている.この言葉にこだわることなく,安全行動を促すベースになっている,JR 東日本における安全の先取りの取り組みを紹介することとしたい.