可燃性ガスのフィジカルハザード評価に資することを目指し,比較的低流速で流動するプロパン/空気予混合気の消炎距離の流速依存性を実験的に調査した.この流速範囲では,流速の増加に伴って消炎距離が狭くなった.電極平板間に火炎核が滞在している時間が流動により短縮されるため,火炎核から電極平板への熱損失量が減少することに起因する.流動時の消炎距離を静穏時の消炎距離で規格化すると,無次元火炎伝播速度(流動環境下及び静穏環境下での火炎伝播速度の比)のみの関数として整理できた.つまり静穏時の消炎距離の値では,比較的低流速で流動する予混合気の着火リスクを過小評価することになるが,静穏環境下での消炎距離と火炎伝播速度の関係を良好に予測できれば,流動環境下での消炎距離も精度よく予測できると期待される.