2022 年 61 巻 4 号 p. 234-243
地球温暖化対策の有効なエネルギーキャリアーとして水素が注目されており,利用形態の確立が要望されている.燃料電池などの固定利用機器への効率的な供給形態の一つにパイプラインを用いた水素導管供給システムがある.ただし,当システムには水素漏出のリスクがあり,その保安対策が必要である.地中における水素漏出の際,早期に漏出位置を特定する必要があるが,都市ガス事業の検知器調査を想定すると,調査の有効性や検知効率の評価には,水素の地中および大気中の拡散挙動の知見が重要である.また,実運用を考慮すると,地中構造体(防護板や建物の基礎等)が拡散挙動に影響するため,これらを想定した知見の整理も求められる.本研究では,実験を通して地中構造体の影響を考慮した水素の拡散挙動を整理し,検知器調査方法の適用性を検証した.